第106回 情報のウソを見抜く力
第106回:「『ポスト真実』時代を生き抜く教育を」」

第106回:「『ポスト真実』時代を生き抜く教育を」」

2017年5月16日(火)午後7時から「偽ニュース(フェイクニュース)をどう見抜くか」「メディア情報リテラシー教育のことを考えたい」と、経営者、ジャーナリスト、NPO代表、大学教員、大学研究員、大学生、ビジネスパーソン、中小企業診断士、ピアノ教師、編集者、市民メディアプロデューサーなど22名が集い、対話しました。(感謝!) 詳細はこちら

 「偽ニュース(フェイクニュース)」が氾濫した昨年のアメリカ大統領選で指摘されたように、事実よりも感情や信条が世論に大きな影響を与える風潮が近年世界中にまん延した状況になり、「ポスト真実(post-truth)」の時代だと言われています。英オクスフォード辞書が2016年の言葉に選んだ「ポスト真実」は、イギリスのEU離脱や米大統領選挙を通じて世界中で話題となり、日本のメディアでも頻繁に使われるようになりました。

 今、教育の現場で何が求められているのか。坂本さんに現状とこれからの在り方、課題をうかがい、私たち自身が偽ニュースに騙されないメディア情報リテラシーをどのように身に付け、教育の場に生かしていけばいいのか、考えました。

◎第106回:「『ポスト真実』時代を生き抜く教育を
              ~メディア情報リテラシー教育のこれから」
  ☆ゲストスピーチ  坂本 旬(さかもと・じゅん)さん
              <アジア太平洋メディア情報リテラシー教育センター(AMILEC)理事、
              法政大学キャリアデザイン学部教授>http://amilec.org/
        

人結びの場
【なぜ、メディア情報リテラシー教育か】
 メディア情報リテラシー教育をなぜやっているかと言えば、2001年から大学のサバティカルでニューヨークに行っており、図書館の教育を研究していたところ、9.11が起こりました。テロへの戦いなどで、人の心も含めて自由な雰囲気ではなくなったのがきっかけでした。戦争に対してものを言わなくなる、言えなくなる状況を体感しました。

 2003年に帰国後すぐのCNNのニュースで、イラクのバクダッドでメディアが攻撃されたという情報をヨルダンのアンマンから伝え、伝聞情報であることは明らかでした。アメリカの放送もコントロールされていました。

【メディア情報リテラシー教育とは】
 メディア情報リテラシーは21世紀の民主主義・平和・人権の根幹を担う力です。国連機関もその重要性に気がつき、世界中で普及が進められています。今日の世界は日本を含め多くの国々で民主主義・平和・人権の危機に見舞われつつあります。

 今、あらゆるところで、SNSが流れています。偽ニュースも飛び交う危険な状況です。メディア情報リテラシー教育の必要と、重要性がますます高まってきています。携帯電話の爆発的普及でインターネットへのアクセスが容易になり、押し寄せる「情報」を子ども自ら批判的に読み解き、活用できる力(リテラシー)の育成が大きな課題となっています。

【ヘイトスピーチ事件に関する授業】
 「世界報道の自由の日フォーラム」のフォロー授業を行いました。テーマは5月3日にTV放映された京都のラーメン店ヘイトスピーチ事件をめぐる問題。フォーラム前の授業ではほとんどの学生がヘイトスピーチではないと答えていました。

 今回はヘイトスピーチとは何か、情報の真偽を確かめるにはどうすれは良いかをしっかり確認した上で、ディスカッションをしました。事後アンケートによると、ほとんどの学生が自分の考えを変えています。おそらく、日本におけるメディア・リテラシー教育として、ヘイトスピーチ対策法に基づいてヘイトスピーチ問題を扱った初めての実践だったのではないかと思います。

 日本の学校教育の中では「情報モラル」教育として位置付けることになるのかもしれません。
ヘイトスピーチかどうかは「差別のあらゆる扇動」や表現による迫害につながります。間違いなく、この問題は日本の教育現場の課題だと思います。

【異文化交流の重要性】
 私たちは、日本・中国・韓国のことをよく知りません。お互いにビデオレーターを送ると、一人ひとりを知ることで相手に対するイメージが変わります。

 ユネスコスクール(ESD)でメディアを活用してネパール、インドネシア、カンボジアと交流をしています。これにはメディアリテラシーの要素が入っています。ネパールでは、自分たちには伝えたいことがあると言います。「貧しい国でもどう暮らしているか見てくれたら嬉しい」と。子どものころから異文化の交流の機会を持つことが大切です。

【フェイクニュースの5Wと1H】
 押さえておくべき点があります。
・誰が記事を書いたか?(署名はあるか)
・発行元は何か?(信頼できる情報源か)
・情報源はどこか?(名前はあるか)
・それはいつ発信されたか?(足りない情報が警告を発する)
・執筆者はなぜそれを書いたか?(何が動機か)
・それによってどのように感じたか?(どんな感情が湧いたか)

 偽ニュースとヘイトスピーチの問題では、学生の現状認識は弱く、深く考えておらず、民主主義が危険な状況です。
 どうやって信頼関係をつくるのか、どう伝えればよいか、と言えば、まずは、情報源を見極めることです。


◇人むすびカフェ  ファシリテーター  角田 知行さん
人結びの場

  今日のお題は、「これからの時代の情報とどうつきあいますか?~その危うさに対して~」 真剣な対話で盛り上がりました。

終了後のご感想を一部、紹介します。


・子どものときにいろいろな体験や多文化や多世代とふれることで自分の考えで情報にふれることができるのではないか。
・デジタル情報(ネット)で専門化される。(求める情報しか求めない)
・すべてのニュースには意図があり、正しいニュースなど存在しない・・・ということ。
・新聞とデジタルメディアの比較ができた。キーワードは相対化と共感かと感じた。
・手段によってメディアリテラシーが大きな意味をもつこと
・情報源を問うことの大切さ  新聞さえ信用されていないこと
・好きな情報だけ→異質な価値観同士がどう話し合うか、議論の仕方をつくりたい。
・「疑い」と「判断力」の関係 判断力=感性(理屈ではない)
・情報はゆがむものである。   等


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