第113回 美術館でむすぶ
◆第113回:「美術館に関わる人々をむすびたい〜新米美術館長の野望~」

◆第113回:「美術館に関わる人々をむすびたい〜新米美術館長の野望~」

2017年12月8日(金)午後7時から「館長の思いを聴きたい」「美術館関係者をむすぶとは?」と経営者、NPO代表、図書館員、高等学校教諭、共育者、学校団体職員、ライター、ホテル支配人、市民メディアプロデューサーなど20名が集い、対話しました。(感謝!)

⇒今回のご案内

◎第113回:「美術館に関わる人々をむすびたい〜新米美術館長の野望~」 
  ☆ゲストスピーチ  神代 浩 (かみよ・ひろし) さん
         <東京国立近代美術館長、図書館海援隊隊長>     
http://www.momat.go.jp/ge/  http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/kaientai/1288450.htm        


人結びの場
【プロフィール】
 1962年、大阪生まれ。1986年に文部省(当時)に入省、在米国日本国大使館、2009年、文部科学省生涯学習政策局社会教育課長、国立教育政策研究所教育課程研究センター長、同初等中等教育局国際教育課長、2014年に文化庁文化財部伝統文化課長、2015年、科学技術・学術政策局政策課長・科学技術学術総括官を経て、2017年4月から現職。

【図書館海援隊と図書館総合展との出会い】
1 社会教育・文化は何番目?
 熊本地震の被害情報を見ても、社会教育・文化は後回しになります。教育委員会はまず学校の状況把握に動き、図書館などの社会教育施設や文化施設は、被災しても、職員は避難所運営の応援へ回ります。図書館の場合、指定避難場所に指定されていない場合が多いにもかかわらず、避難民を受け入れざるを得ない事態になることもあります。
 ひとたび、巨大災害が起こったら…図書館の復旧、復興は何番目になるでしょう?

2 わが国の図書館をめぐる状況
 ・図書館数は増加(S30:742→H27:3,331)
 ・指定管理者も増加(H17:1.8%→H27:15.6%)
 ・職員数も増加(S30:4,362→H27:39,828)
 ・しかし専任の割合は低下(S53:93.6%→H27:28.7%)
 ・貸出冊数が初めて減少(S22:682百万冊→H26:662百万冊)
 ・1館当たりの資料費は減少(H5:1,469万円→H28:867万円)
 ・ボランティア登録者数が初めて減少(H23:112,085人→H27:95,949人)
  「それなりに必要性はあるが、元気がない?」

3 図書館海援隊について
 リーマンショック後の2008年12月31日、日比谷公園に「年越し派遣村」が開村し、派遣切りなどに遭った失業者向けに炊き出し、生活・職業相談、生活保護申請の支援など行いました。約500人の失業者集まり、ボランティアが1680人参加しました。

 見ていて「何かが足りない?」「社会教育の出番は?」と考えました。図書館をめぐる動きとして、2008年に図書館法が改正され、図書館が行う事業に、学習の成果を活用して行う教育活動の機会を提供する事業をできるようになりました。What’s next?

 2009年7月に、社会教育課長に異動したのち、11月に参加した「ディスカバー図書館 in とっとり Ⅱ」で、図書館の(古くて)新しい可能性を身を持って実感しました。困ったときは、図書館へ。12月に「公設派遣村」設置の動きがあり、図書館海援隊を発足しました。住民の課題解決に対する支援を公共図書館に不可欠の機能として推進・発展させようとする、有志のネットワークです。約50館が参加しました。

4 図書館総合展との出会い
 2010年7月に社会教育課長から国立教育政策研究所へ異動するに伴い、第12回図書館総合展への登壇の誘いを受けました。図書館政策フォーラムで、「『図書館海援隊』ぜよ~困ったときには図書館へ~」のテーマで基調講演を行い、知事たちの図書館論も展開されました。

【美術館の現状と課題】
1 東京国立近代美術館赴任してから起こったこと
 ・夜間開館、多言語対応
 ・「学芸員がガン」発言
 ・プレミアム・フライデーイベント会場に東京メトロとのコラボ(スタンプラリー、”Find my Tokyo”11月の舞台)
 ・海外向け番組の撮影

2 美術館に求められていること
 ・観光対応:夜間開館、多言語化
 ・「インスタ映え」対応:作品への撮影許可、撮影可能スポット設置
 ・「コト消費」対応:「怖い絵」展(最大210分待ち)、「ミュシャ展」(66万人)
 ・多様なニーズ対応:「会話OK」の日、チケットのネット販売、時間指定チケット、定員限定チケット

3 職員の多忙化
 ・日本の美術館の学芸員が担当する業務は、展覧会の企画、実施(共催者との調整、関連イベント含む)、収蔵作品の保管、修復、作品の購入、寄贈受入、他館との作品の貸借、広報宣伝、ギャラリートーク、多言語対応、調査研究  等々
 ・学芸員への要求が高くなっている

4 共催展 vs 企画展
 ・共催展:新聞社等との共催は、広報宣伝等美術館側の事務負担は軽減されるが、制約も多く、それほど収入増にもつながらない
 ・企画展:美術館の自主事業。展示内容等の自由度は大きいが、全ての業務を自分たちで処理しなければならず、採算上のリスクも大きい

【新米館長の野望】
 2017年5月、第66回全国美術館会議総会に参加し、会場外の廊下に関連企業のブース を発見し、どこかで見た光景?と感じました。
 図書館と美術館には、共通する課題があります。例として、社会における役割・必要性、職員の雇用形態、司書・学芸員の専門性、予算(資料購入費、作品購入費)、指定管理者制度、施設の在り方(単独か複合か)などです。

 2017年11月7日の第19回図書館総合展のフォーラム「図書館総合展で美術館を語る」 で基調講演をし、長崎県美術館米田耕司館長と対談し、図書館・美術館共通の課題を関係者同士で共有し、一緒に議論する可能性と美術館関係者が幅広く集まって議論できる場を創る可能性を語り合いました。

 図書館総合展は、「図書館運営者・関連業界とコンタクトをもつのに最大かつ最良の機会であるだけでなく、読書・学習・研究環境についての最新技術と知見が一堂に会する場」
 「図書館の機能や役割が、まちづくりにも、教育や文化全般にも寄与することを評価されているため、行政関係者、教育関係者、出版をはじめとするメディア・情報関連業を巻き込むイべント」として、認知されています。

 では、美術館総合展の可能性は?
 「美術館運営者・関連業界とコンタクトをもつのに最大かつ最良の機会であるだけでなく、美術鑑賞・学習・研究環境についての最新技術と知見が一堂に会する場」「美術館の機能や役割が、まちづくりにも、教育や文化全般にも寄与することを評価されているため、行政関係者、教育関係者、画廊をはじめとするメディア・情報関連業を巻き込むイべント」になります。

 美術館の世界でも、館種を越え、企業・NPO法人など美術館に関わるステークホルダーが幅広く集まって交流・意見交換する場ができたら、面白いと思いませんか?


◇人むすびカフェ  ファシリテーター  角田 知行さん
人結びの場

  今日のお題は、「美術館に対して、あなたが抱く野望は何ですか?」 様々な思い、アイデアが飛び交いました。

終了後のご感想を一部、紹介します。


・敷居低く、ゆるやかに日常に小さい人から大きい人まで“美”を気楽に感じたいと   いう欲求があるんだな。
・アートを定義して閉じ込めてはいけない。「人」→「楽しさ」→「雰囲気」
・作品は形ではなく、関係性をデザインする力=空間
・美術館がまちづくり、社会教育、文化振興につながること。関係性のデザイン
・メディアアート、関係性そのものを作品にする。関わるすべての人を作品にする。
・「つなぐ」 いろいろな施設(図書館+美術館+こども食堂など)や人をつなぐことが課題解決のキーワード  等


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