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第72回:「『町家ステイ』という、まち・人・おもてなしのつなぎ方」

第72回:「『町家ステイ』という、まち・人・おもてなしのつなぎ方」

2014年7月23日(水)午後7時から「京都の町家大好き」「ビジネスで地域再生の手法とは?」に関心深いメディア関係者、経営者、中小企業診断士、社会保険労務士、教員、介護福祉士、ビジネスパーソン、コミュニケーションデザイナーなど15名の場づくり人が集い、対話しました。初めて女子率5割越えの回となりました(感激!)

 京都の古い町家をリノベートして「宿」として活用した「町家ステイ」が、古都の新しい楽しみ方として人気を集めています。伝統を生かしたビジネスの新機軸としても注目される「町家ステイ」は、なぜ魅力的なのか。宿泊のスタイルを変えたのは、“仕掛け人”の根岸良子さんの「こんなところに泊まりたい」という思いからでした。
 東京生まれで京都の慣習に戸惑いながらも京都で切り開いた、ドラッカーを学んでのまち・人・おもてなしのつなぎ方とは。歴史文化を活かした本物志向の「町家ステイ」での取り組みを伺いました。

◆第72回:「『町家ステイ』という、まち・人・おもてなしのつなぎ方 ~ドラッカー流の京町家の再生とは」

☆ゲストスピーチ&質疑応答
根岸 良子(ねぎし・よしこ)さん(株式会社葵 代表取締役、公認会計士)

人結びの場 【町家ステイをはじめた思い】
 10年前から古い町家を旅館にするということを始め、今回は第2次創業にあたります。第1次創業時の「町家ステイ」は、旅館の認可を取る前のビジネスモデルとして考えました。今、京都での宿泊スタイルとして、ホテル・旅館と並び、新しいジャンルとなって増えています。

 第2次創業として3年前に立ち上げた「葵 KYOTO STAY」には6軒の町家があり、1軒を一つのグループにお貸しします。プライバシー重視のこだわりのあるしつらえで贅沢できる空間となっています。場所によっては隣にコインパークがあるなど、景観が今ひとつでも、「すべてが完璧じゃないところに意外性があってワクワクして楽しい」と言っていただいております。

 私は、OL時代からドラッカーの顧客満足を実践してきました。公認会計士をめざし、独立開業したときには、それまで出版されていた本にはない「お金」の視点を入れた本を書き、爆発的に売れました。講演などで忙しくしていましたが、バブルが崩壊してからビジネスモデルを真剣に考えるようになりました。収益を継続的にあげられる仕組みの必要性を感じました。

 30年前に京都の金融機関の仕事で登り窯の再生コンサルティングに携わり、その過程でアレックス・カー氏(東洋文化研究者、古民家再生プロジェクトを行う)との出逢いがありました。「京都に来たらこんな町家に泊まりたいね」と言われ、「それじゃ、一緒に始めようか!」という軽いノリで町家を再生して旅館にする、まったく新しいビジネスをしました。我々二人は本業があるので、他の人に経営を任せたところ、当初考えていたような旅館経営ではなくなったので、第2次創業しました。

 古くなってきれいになるものがあります。木、古民家、骨董・・・それらを活かしたいと思いました。

【オープン時の取組み】
 スタッフ全員で「もしドラ」(「もし高校野球のもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社))を読み解き、「真摯であること」「顧客満足」「イノベーション」を実践すると決めました。世の中にすでにあるものをやるとしたら、イノベーションが必要です。

 東北震災直後にオープンしましたが、当初予定した数のお客様が来なくて、まさにデスバレー。3年目にして、世界のホテル予約サイト「ブッキング・ドット・コム」において、京都の350を超えるホテルの中から、京都最優秀ホテルに選ばれました。特に清潔感の評価では10点満点のうち9.8を獲得。宿泊客の40%は日本、60%は外国人となっています。

 「ゲストニーズを捉え、ゲスト満足を満たせば必ずお客様は増える」の信念をもって、価格を下げる経営はしていません。そして、Salesforceを活用して、情報のデータベース化・共有化、経営の見える化を図っています。

 今、ホテルや旅館はまさにインターネットビジネスです。90%以上のゲストがインターネットで予約します。インターネットで検索するときには、レアキーワードが重要です。たとえば「京都+町家+旅館」。また、「値段が高いか、安いか」でお客様は検索します。ゲストにとって、①値段は高いが質が高いか、逆に②値段は安いがプライバシーはない、そこに泊まっている世界のバックパッカーとワイワイガヤガヤ旅を楽しむならゲストハウスがあります。私たちは、①であり、価格を下げず、質にこだわっています。

 幸い、お客様からは、「こんなところに泊まりたかった」「いにしえの京都を味わった」と好評をいただいています。

【町家旅館を経営して得られたこと】
①プライシング・ポリシー:価格を下げない経営が大切だと思います。

②現在のビジネスでは、ネットをフル活用することです。
 ホテル・旅館の場合は、「ネット(検索エンジン)+現場の接客+空間の快適性」が大事です。私の場合は、最初の1年間、Facebookに365日、京都の記事を書き続け、インターネット上に葵と京都に関する記事をばらまきました。さらに広告料を負担して、リスティング広告で検索されるようにしました。今では、広告を出していませんが、アクセス数は減っていません。最初の年の努力が実ったものと思います。

③「経営の見える化」の重要性を認識しました。
 予約の動向をつかんだり、スタッフ間のコミュニケーションを良くするために必要です。

④人手不足の解決策:外国人研修生の活用
 インターン生として、外国人研修生を採用しています。

⑤外国人の採用による日本人スタッフへの波及効果
 異なる視点から自分たちのビジネスモデルやサービスの在り方を考える契機となっています。

 新規ビジネスを成功させるには、開業までの半年間のリーディング期間が非常に重要です。どのようにサービスを開発し、充実させ、広報するかが大事です。過去の業務に対する高い評価を得ていること、友人・知人などのサポーターの存在も大切です。

◇人むすびカフェ ファシリテーター 角田知行さん

人結びの場今日のお題は、「今日のお話の中であなたがもっと考えてみたいな、と刺激を受けたところはどこですか?あなたは何に関心が向きましたか?」

・思いが先にあって、それをビジネスモデル化した成功事例
・日本の良さは外から見た方がわかる。
・古いものを見直す力 ドラッカーの時代をこえた理論
・古い文化の継承は、ビジネスで成立させることで担保される。
・これまでとはちがう視点の誇りをもって外国人に見せられる旅館(町家)ができた
・イノベーション
・地域の持つ強み  歴史
・現場のスタッフの思い、どんな働き方をしているのか、ドラッカー流の動きをもっと知りたかった。  等

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